わたくし、つまりNobody賞

2010年 特別賞

杉原美津子 杉原美津子 杉原美津子

【略歴】

編集者・作家。1944年、愛媛県生まれ。1980年に起きた新宿西口バス放火事件に遭遇、この体験を機に執筆を始める。著書に『生きてみたい、もう一度』『炎のなかの絆』『老いたる父と』『命響きあうときへ』『他人同士で暮らす老後』『絆をもとめて』『夫、荘六の最期を支えて』など。
2009年10月、「逝く時を支えられて」を脱稿、応募。2010年、「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」の特別賞を受賞。同作を増補改稿した『ふたたび、生きて、愛して、考えたこと』が同年4月に刊行される。
2014年12月7日没(70歳)。

【授賞理由】

肝臓癌と診断され、切迫した状況にあると告げられた氏は、当賞に応募された作品「逝く時を支えられて」で自身の半生と来たるべき死を見つめ、私とは何かを問い続けます。
新たなる表現形式の可能性を見出そうとする賞の趣旨には必ずしも該当しませんが、どこまでも表現し続けようとする氏の姿勢に、私たちは深い共感と敬意を表します。このような高い水準の投稿を得た喜びを著者と分かち合うとともに、ここに特別賞をもって、氏の営為を顕彰するものです。

【ブックリスト】

ふたたび、生きて、愛して、考えたこと
ふたたび、生きて、愛して、考えたこと

いつか逝く道、遥か来た道──。
炎に焼かれ、奇跡的に生還した新宿西口バス放火事件から29年、さまざまな困難を乗り越え、夫を看取った著者に進行癌が見つかる。運命を生きること、そして死んでゆくことの意味とは、何なのか。
自身の半生と来たるべき死を見つめ、私とは何かを問い続ける魂の言葉。

トランスビュー◆定価1,500円(本体価格)
2010年4月刊

夫、荘六の最期を支えて
夫、荘六の最期を支えて

“なぜ、これほど凄まじい介護ができたのか?” 1980年に起きた新宿バス放火事件で被害者となった著者。事件から29年、苦難を乗り越え、伴侶の認知症介護と向き合い、ふたたび問いかける「生きること」の意味──。三好春樹氏絶賛の「究極の介護」ノンフィクション。

講談社
2009年8月刊

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